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2018年5月19日土曜日

「東大紛争 1968-1969」COINゲームの進め方は意外とシンプル

(以下ゲームマーケット公式ブログより転載)

「東大紛争 1968-1969」のベースとなった米GTMの「COIN」シリーズの特徴として、「複数の勢力がそれぞれ異なる勝利条件を目指す」「それぞれの勢力が実行できる行動の内容が異なる」ことを紹介しました。そんな異なる勢力の利害関係が複雑に絡み合う非対称紛争を再現するCOINシリーズですが、ゲームの進め方は意外とシンプルです。

このゲームの進め方をシンプルにしてくれるCOINシリーズのもう1つの重要な要素「アクションカード」と「行動優先権」について紹介しましょう。

COINシリーズでは扱うテーマに沿ったイベントや時代の区切りを再現する「アクションカード」を用います。カード開始時に山札としてすべてを伏せて積み上げているアクションカードから一番上のカードを表にしてこれを「第1カード」とし、次の山札も表にしてこれを「第2カード」とします。プレーヤーは第1カードの内容に従ってゲームを進めますが、次に使う第2カードの内容も確認した上で作戦を練って行動を決断することになるのです。


さらに、カードには「どの勢力が先に行動できるのか」を定めた「行動優先権」が記載してあります。

ある局面で第1カードと第2カードが次のように並んでいたとしましょう。

第1カード「11・1佐々淳行警備第一課長就任」
第2カード「1・10全学集会にて「10項目確認書」締結
第1カードの行動優先権は「民青・あの政党>警察>全共闘>大学・文部省」の順番です。第1カードには警察勢力にとって実行したいイベントが記載してあります。第2カードの行動優先権は「全共闘>警察>民青・あの政党>大学・文部省」の順番でイベントには全共闘にとっては不利なので他の勢力には実施させたくない、民青・あの政党にとっては実施したい内容が指定されています。

さて、第1カードで最初に行動できる民青・あの政党ですが、第1カードのイベントを警察に実施させたくないけれど第2カードのイベントを自分で実施したい。ここで警察に第1カードのイベントを実施させないように、「第1勢力=コマンドのみ」を選ぶと警察はイベントが実行できなくなります。

しかし、民青・あの政党としては第2カードのイベントも実施したい。第1カードで行動すると次のカードでは「行動済み勢力」となってアクションを行動できなくなるのです(イベントの指示でイベントを実行すれば次のカードも行動できる場合もある)。次のカードで行動するためには「パス」をする選択もあり得ます。とはいえ、次に行動できる警察勢力がここでイベントを実行すると、イベントの指示で次のカードも行動できます。そうなると第2カードでは民青・あの政党より警察が先に行動できるため、イベントを実施できる可能性はかなり低いと考えるのが妥当でしょう。ならば、警察に第1カードのイベントを実施させないために“あえて”第2カードのイベントを捨てて第1カードで行動する……。

以上のように、それぞれの勢力は作戦を立てながら1枚のカードにつき2つの勢力が行動を実施したら(またはパスなどで行動できる勢力がいなくなる)、第2カードを第1カードに移し、山札の一番上のカードを表にして新しい第2カードとして同じ手順を繰り返します。

第1カードと第2カードを確認する>2つの勢力が行動を実施する>第1カードと第2カードを更新する。COINシリーズはこの繰り返しだけ。実施する行動もそれぞれの勢力で用意している「4つのコマンドと3つの特別能力」から選ぶだけ。手順としては分かりやすいシンプルな構造です。しかし、プレーヤーが考える作戦は上記で紹介したように複雑な利害関係を考慮した奥深い思考が求められます。

「これまでウォーゲームはやったことなくて」という皆さんも、プレイしやすく思考は奥深いCOINシステムを採用したこのウォーゲームで「東大紛争」における各勢力の複雑な利害関係を体感していただければ、と思います。

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